2.20.2007

自動車免許の再取得4

仮免の筆記試験に合格し、いよいよ車の運転を学ぶ時が来た。

教習所へは池袋駅からマイクロバスに乗って行くことになる。私は池袋という街に今まであまり縁がなかったのだが、サンシャインビル群のちょっとした狭間にある高速道路の入口からぐっと螺旋の坂を登り、トヨタのショールームらしきものがある不思議な形の建物や、巨大なドンキホーテなどを眼下にしながら走っていくバスの車窓はとても不思議で、30年前の人間が想像した20年後の都会を思わせるような風景だ。タルコフスキーの「惑星ソラリス」という映画を連想させる風景なのである。もっとも「惑星ソラリス」には実際に東京の首都高速が未来都市の風景として使われているのだが、この路線ではない。

教習所がある埼玉県の河川敷もまた、私には新鮮な風景が広がっていた。広域にわたって公園化されていて、それでいて施設が少ない、とてもゆったりとしたつくりになっている。遠くには大きな水門や高いアンテナが見えて、さらに遠くにはさいたま新都心のビル群を望むことができる。ここにおいて私は広大な北海道の風景を連想してしまう。

話は脱線するがこういった景色の第一印象というのはとても大事なことなのではないだろうか。私などは成田空港に用事があると、いつもそれを考える。日本を初めて訪れた外国人が空港から電車に乗り、トンネルを抜けて広がる景色を目の当たりにして何を思うか。とにかく私にとって、教習所へ到るまでの光景は極めて気分の良いものだったので、これからはじまる教習にも積極的な気分で臨めることになった。

結局この後、仮免の実技試験までに私はあと4回、この地へ通った。教官の指導は想像以上に(と言っては失礼だが)的確かつレベルの高いもので、免許取得後までを視野に入れた教え方のように思えた。車を運転すること自体が久しぶりで、しかも教習コースのようなところを走るのはそれこそ、以前教習生だった頃までさかのぼらないと経験していないことなので、とても楽しいのだが、その後路上で実際に運転していた時期が長かったこともあって、私はその時についた悪い癖を修正するのに骨を折った。運転技術というのはそう簡単に落ちるものでもなく、坂道発進やS字・クランクなどは訳もなく通過できるのに、癖を押さえ込むことはなかなかできない。私の弱点は停止時にギアをニュートラルに入れてしまうことと、時折セカンドギアで発進してしまうこと、ポンピングブレーキの局面で何度もブレーキを踏んでしまうこと(正しくは2回)だった。それでも運転はできる、というより路上でそうやって運転している人は多いのだが、それだと試験は受からない。教官はよく指導してくれたが、私はいつ弱点が露呈してもおかしくないという不安を拭えないまま、予定していた教習回数をこなし、試験日を迎えた。

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