2.06.2007

自動車免許の再取得2

私が選んだ教習所は、都内に営業所が数箇所あり、運転コースは営業所とはまた別の場所にあって、そこまでは教習所が用意した無料バスで往復するという形態を取っている。1つ1つの営業所は小さなもので、せいぜい小学校の1教室分ほどのスペースしかない。
雑居ビルの一角に存在するその営業所へ私が入っていくと、そこにいたのは教官然としたおじいさんと若い受付嬢、そして机に向かう2人の中国人だった。

ひととおりの説明を受け契約を交わすと、教官然としたおじいさん(実際に教官なのだが、以降おじいさんと表記する)が「今もう少し時間があるなら、模擬試験を受けてみないか?」と聞いてきたので、私は早速中国人たちと並んで机に向かうこととなった。この教習所では学科授業がない代わりに数種類の模擬試験を無料で何度でも受けることが出来る。何度か受けて間違えた箇所を覚えていくうちに、やがて実際の試験に合格するレベルに達するというやり方だ。

かつて免許を持っていたことがあるといっても、試験を受けたのは10年以上も昔のことで、少しは勉強し直さないと高得点は取れないだろうと思いながら、あまり深く考えることもなく機械的にマークシートを埋めていき、私より随分先に始めていた2人に先だって解答を求める、50点満点で44点。合格には1問正解が足りなかったものの、事前の予測よりは随分とよい結果を得たので、私はこの時点で早々に油断し、まだ車を動かし始めてさえもいないのに"再取得までそう時間もかからないだろう"などとタカをくくっていた。

それでも私は間違えた問題の見直しをその場で行い出すと、中国人たちも試験を終え、おじいさんによる彼らへのレクチャーがはじまったので、私は見直し作業を続けながらも、おじいさんの言うことに耳を傾けずにはいられなかった。おじいさんは「Aさんは知識があるけど日本語を読む力は少し足りない、Bさんは引っ掛け問題を読み解く語学力を持っているけどもっと法律(道路交通法)の勉強をしないとダメだなあ。」などと説明していて、その飄々とした話し方には惹かれるものがあるのだが、この場合Aさんに日本語を教えたりもするのだろうか?とか、日本人でもよく引っ掛かるような免許試験の問題をBさんはよく解くことが出来るな、とか、このおじいさんが言っていることは結局のところ状況説明であって、教官として合格に導くようなことを特にしていないんじゃないのか?とか、色々な事を考えさせられてしまった。

その後私は幾度となく営業所や運転コースに足を運ぶことになるのだが、今のところ中国人の彼らには再会していない。
(注:2007年2月6日現在私は未だに免許取得活動中で、ここにある内容は少し前の出来事を描写したものです。)

(つづく)

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