8.03.2009

群馬探訪その1

もう一月も前のことになるが、パートナーと共に群馬へ小旅行に出た。梅雨空の下、レンタカーを借りて10時前に東京を出発する。

カーナビゲーションによると、高速道路を使えば目的の伊香保温泉周辺まで3時間もかからず着いてしまうことが判明する。それでは旅情もなかろうということで、ひたすら一般道を北上。それでも丁度お腹の空いた13時半頃、伊香保温泉近くの水沢地区へ到着。まずは"まいたけセンター"という場所を訪れた。

ここでは特産物の舞茸や、舞茸を使った様々な加工品が販売されている。キノコの香りが充満する中でぐるっと商品を見渡していたところ、パートナーが舞茸を買おうとして、販売員のおじさんから色々と説明を受けているのが目にはいったので私も近づいて説明を聞いた。新鮮な舞茸は水で洗ってはならず、そのままソテーなどをするがよろしいとの御託宣であった。確かに洗ってしまっては、独特の芳香や味が失われてしまうであろうと至極納得した。

そして、"日本3大うどん"と呼ばれる(そもそも日本以外にうどんの有名な産地はあるのか?)水沢うどんを食べに、うどん屋が集中している通りに出た。風評通り、森の中を貫いている道路の脇にうどん屋だけが並んでいるという、ちょっと不思議な光景だった。東京で例えれば深大寺周辺とやや似た風景だ。我々は連なるうどん屋の中から「水香苑」というお店を選択、天麩羅と饂飩を頂いた。瑞々しくてコシのある、おいしい饂飩であった。


(水沢観音)


その後付近にある水沢観音を訪問する。坂東三十三箇所の16番札所であるこの寺院は、霧がかった天候との相乗効果で幽玄なるムードを醸し出していた。ここに円空の彫った仏像があると聞き、本堂の中を覗くと割りと平凡な像が鎮座している。この方面に疎い私は「ふむ、円空でもこのような真っ当な像を作るものなのか」などと勝手に結論づけようとしたが、そんなはずがないとばかりにパートナーはぐいぐいと雨中を突き進み、近くにある新しい建物に仏像類がまとめて置かれているのを発見。期間限定のサービスで無料入場することができた我々は、円空のあの独特なる彫刻を眺めることが出来た。

さて、これでまだ15時過ぎである。そこで我々は榛名湖へ向かうことにした。伊香保温泉を通過し山道をくねくねと登る。この山道が車を走らせていて、何とも言えず楽しいのだ。後で気付いたのだが"イニシャルD"という有名な車マンガに登場する秋名という峠の地名はここから採ったものに違いないだろう。マンガに出てくるだけあって、走り屋ではない私でも少し興奮するようなルートである。やがて車は坂を登り切り、しばらくして榛名山と、山に見下ろされた榛名湖が姿を現した。そう大きくもないこの湖の周辺には欧風のプチホテルがぽつぽつと建っていて、アガサ・クリスティやコナン・ドイルの小説に出てきそうな、事件の香りがする風景である。


(榛名山と榛名湖)


平日で雨の中とはいえ、それにしても人のいる気配がまるでしない。我々は車をとあるホテルに止め、喫茶室で休憩することにした。静々と顔を出し、コーヒーを給仕してくれたホテルマンに軽い気持ちで景気の具合などを尋ねると、高速道路が休日千円になり、首都圏の住民は更に遠くへ足を運ぶようになったため客足が遠のいたと、何とも景気の悪い答えを聞いてしまい、静かな湖畔の喫茶室には気まずい空気が流れた。

いたたまれなくなった我々はそそくさと勘定を済まし、伊香保温泉へと戻りチェック・インすることにした。

(思ったより長くなりそうなのでこの話は何部かに分けます)

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