5.08.2007

自動車免許の再取得9

取消処分者講習を終了すると、残るイベントは試験を除けば特定講習だけとなる。
これは私が以前免許を取得した10数年前に存在しなかったもので、救急介護や高速道路での運転などを特に教わるという内容の必須項目だ。内容ごとに数日に分けて受講することも出来たが、私はまとめて一日で修了するスケジュールを組み入れた。

この講習は科目によって受講者の入れ替わりこそあったが、どれも総勢数名という小規模なものであった。まずは救急介護の講習が行われたが、私はそこではじめて人工呼吸というものを体験した(と言っても人形相手であるが)。ここで興味深かったのが、人工呼吸を含む心肺蘇生法というものが国際ガイドラインによって確立されていて、この講習によって教えられる介護のやり方もそのガイドラインに沿って行われているという点であった。極端な表現をすると、自動車教習所で学ぶものは概ねローカルで局地的なもの(すなわち試験に合格するためのもの)であるという認識を、今までの体験を通じて持ち合わせてきたのだが、ここにきていきなりグローバルでかつ実践的な技術講習を受けることになったのだ。しかも直接的には自動車運転行為と関係のない内容であるということも面白い。私はいつになく真剣にこの講習を受講した。実践的と言いつつも実際にここで学んだことを生かす場に出くわすことがあるのかどうか、人生において実践的に人工呼吸を行う機会のある可能性を数値化すれば相当低い数字が算出されるのかもしれないが、それでも私は、このような講義を自動車免許取得過程において必修とすることには意義があるように思えた。

午後には運転実技を交えた高速教習などが行われた。取消処分者講習で非常に悪い印象を受けた、運転シミュレーターを用いた実習も含まれていたが、違う種類のシミュレーターだったせいか、この日は体調を崩すことはなかった。他の受講者も平気だったようだし、使用前後に「気分が悪くなる人もいる」という説明を受けることもなかった(取消処分者講習の時にはあった)。これらのことから類推するに、シミュレーターそのものが悪いのではなく、あくまで某財閥系メーカー製のそれが粗悪品なのだと思われる。私は以前その財閥系別会社に勤めていた経験もあり、それだけに残念なことであった。

いよいよ為すべきことを為し終え、残すところは本試験のみとなった。
仮免の時と同様に私は、所属する教習所の営業所へ出向き、無料の模擬試験を受けた。事前に少し勉強してから臨んだこともあってか、いきなり高得点を叩き出す事が出来た。営業所のおじいさんは「別の日にまた模擬試験をこなしてから本試験を受けに行きなさい」というアドバイスをくれたが、私はもう少し自宅で勉強すれば間違いなく本番も成功するという確信を抱いて、アドバイスを受け流した。

4月某日、私は鮫洲で本免許筆記試験を受けた。模擬試験後に抱いた確信は結果的に思い上がりではなく、合格。しかし合格率の低さには驚いた。受験番号が電光掲示されるのだが、私の番号010が最初に点灯し、つまり私の前9名が不合格で、その後の点灯状況を見ても合格確率はせいぜい1割台というものであった。しかるべき準備をすれば容易に合格すると思われる試験なのだが、皆受験料と時間に鷹揚なのだなと思えて仕方がなかった。

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