4.11.2007

自動車免許の再取得7

取消処分者講習の予約日が迫り、私は再び免許再取得に向けてのアクションを起こすことにした。
ここから本免許を得るまでに必要な項目を箇条書きにすると、以下のようになる。

・1日2時間以上で5日以上の路上運転履歴
・取消処分者講習(2日間)
・特定講習(7時間ぐらい)
・本免許筆記試験
・本免許実技試験

この中で特定講習というものは、順番として本免許試験合格後に受講してもいいものなのだが、その場合本免許試験合格の日に免許は交付されず、講習受講を証明する書類を後日免許センターに提出してはじめて交付されるという手間のかかる流れになる。私はとりあえず路上運転履歴を満たし、実技試験に向けてのテクニックを身につけるため、路上教習の予約を入れた。

数年ぶりに公道上を走るというので少し緊張しながら始まった路上教習において私は、すぐにカンを取り戻して運転の硬さこそほぐれたものの、つい2ヶ月前に仮免許対策として教わった正しく細かなドライビング・テクニックをあまり覚えておらず、1からやり直しとまではいかないものの、色々なことをその都度思い出しながら運転しなくてはならない状態になっていた。単純な左折1つをとっても、ウインカーを出すタイミング、車を左に寄せるタイミング、アクセルとブレーキのメリハリ、巻き込み確認の徹底etc..、知識というよりも体で覚える必要のあるポイントが幾つも存在した。仮免許を取得する直前の段階では、教習所のコース内で運転する限りにおいてはかなりのレベルで体に浸透していたのだが、もう忘れてしまっている。空白の期間が恨めしい。

また路上においては、例えば3速で40キロをキープしたり、4速で50キロをキープし続けるということが意外と難しい、というより精神的に苦痛であることがわかった。前を走る車は大抵もっと加速していくし、後ろを走る車がもっとスピードを上げていきたいと思っているのもよく伝わってくるという状況だと、制限速度を守らないと試験では減点されると理解していても、つい流れに沿ってアクセルを踏んでしまうという危険性があるわけだ。早い流れには逆らい、かといって50キロ制限の場所を40キロで走っても駄目で、速やかに時速50キロへと加速しそのスピードを保たないといけない。左折と並んで、これも実技試験では大きなポイントとなるだろうと予感させる体験であった。

路上教習を3日分行ったところでいよいよ取消処分者講習の日がやってきた。この講習は鮫洲や江東などの免許センターや、私が通っている教習所ではなく、また別の教習所で受講することになっていた。東京都内では3箇所でしか開催されていないということだ。朝早くその教習所に私が着くと、40歳代やそれ以上に歳をとった方々の姿が目についた。私の後に入所してきた人達を見ていても、年下であろうと思われる人の姿はあまり見当たらず、同世代かそれ以上の人ばかりだった。しかも全て男性だった。そんなメンバー構成で講習はスタートした。

初日には運転適性検査や、事故を起こさないためのレクチャー、運転実技指導などが行われた。運転適性検査は取消処分者講習に限らず、免許を取得するために公認の教習所に通えば大抵受けることになるもので、足し算や引き算、四角いマスの中に三角形をひたすら制限時間内に書くといった反射神経を測るものや、性格診断などで構成されていて、結果は2日目に発表するという流れになっていた。レクチャーはビデオ教材を用いたもので、いくつかの事故事例を挙げ、どのようにしてそれは起こったのかという検証によって構成されているのだが、ドキュメンタリーと銘打ったそのビデオは内容としてはむしろメロドラマの範疇で、私は本来目的とはやや違う意味で堪能してしまった。

そして実技指導。私を含む数名は仮免許を取得してからこの講習に臨んでいたものの、大半は仮免許取得前段階での受講だった。この文章を読んでいる方が私のように免許再取得を目指すことになった場合、取消処分者講習は仮免許取得前に受講することをお勧めしよう。これは受講してみてわかったことなのだが、この講習における実技指導は仮免許の実技試験を念頭においたものだからだ。コース外での指導は仮免許を持っていても行われず、私を含む数名の取得者はその時間帯を、車庫入れや縦列駐車の実践を行った以外は筆記試験対策に費やすことになり、私は少し損をした気分になった。実技指導では実車の他にも、シミュレーターを使ったものも行われたのだが、某財閥系工業会社が製作したこの運転シミュレーターは残念ながらどう考えても欠陥品としか思えない代物で、運転に関わる機能はうまく再現していると思うのだが、とにかくユーザーを車酔い(シミュレーター酔い?)させるのだ。私は軽く目眩と吐き気をもよおした程度で済んだが、私の前に体験した2人は終了後にぐったりとしていた。

初日も夕方になり、最後に軽くレクチャーの時間があったのだが、そこで事件が起きた。教官が我々に解答を求めるに当たって、その教官が眠っている受講者を発見し、「寝てはいけませんねえ」と言いながら近寄ったところ、その受講者は寝ていたというより気絶していたということが発覚したのだ。運転シミュレーターを終えてぐったりしていた2人のうちの1人だ。教官は青ざめ、救急車を呼ぶかどうかという判断を迫られた。気絶していた受講者は意識を取り戻し、救急車を呼ぶ必要はないと答えた。騒然とした雰囲気の中、最後はあわただしく初日のスケジュールが終わった。

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