3.19.2009

WBCあれこれ

ここのところ非日常的な生活がすっかり日常化してしまっている為、当欄に何を書けばよいのかわからなくなっている始末であるが、世間ではWBCという野球のイベントが非日常的に盛り上がっているようだ。視聴率の数字などを見ると、かなり凄いことになっていて、サッカーのW杯並みになっている(少なくとも予選の視聴率は、WBC予選がW杯のそれを凌駕した)。

サッカー愛好家にして野球も嫌いではない私は、今ひとつこの盛り上がりに乗れないとはいえ、それなりに日本をはじめとする各国の野球内容や結果を気にはしている。が、むしろこのWBCブームという社会現象そのものにより興味を持つ。なぜにここまでフィーバーしているのか、と。

サッカーW杯と比較すると、相違が浮き彫りになるだろう。まず出場各国の中でも盛り上がり方に大きな違いがあるようだ。W杯の場合、およそ出場する国の大多数において関心対象になるのに対し、WBCが国民的な関心対象になっているのはおそらく日本・韓国・キューバ(プエルトリコ・ドミニカあたりもそうかもしれないが、ちょっとわからない)あたりだけで、過半数の出場国ではさほど興味を惹いていないと思われる。もっとも、長い歴史を誇るW杯に対し、まだ2回目のWBCが拮抗できるはずもないが、"盛り上がっている"側に日本が位置することをまずは留保しておこう。

また、野球人気が復活したのか、野球がサッカーよりやっぱり人気があるのか?という点であるが、私はそんなことはないと考えている。野球もサッカーも共に人気が落ちたというのが正解に近いのではないだろうか。近年ではプロ野球・Jリーグ共に観客動員こそ健闘しているもののTVの視聴率は惨憺たるもので、コアなファン層は堅持しているがライトなファン層がよりライトになった。でも完全に興味を失ったわけでもないので、数年に一度、不意に盛り上がりを見せるW杯やWBCなどのお祭りには参加しよう、といったところなのだろう。少し話を逸らすと、中学高校におけるスポーツ系部活動に関わる生徒の割合というのがめっきりと落ちてしまっているらしく、野球やサッカーも例外ではないそうだ。そういったことからも、野球の人気が復活したわけではなく、サッカーより上だとも言えないと思われる。

あと、WBCに関心を持つ日本人がWBC自体に関心を持っているのか?という疑問もある。サッカーW杯の場合、日本絡みの試合以外、例えばブラジル対イタリアなんていう決勝戦が実現したとして、それをTV観戦する人は結構いるのだが、今回WBCの決勝が仮に韓国対USAだったら、誰かその試合を見ますか(と言いつつ、ジーターのファンである私は見るかもしれないが)?そう考えると、このWBCフィーバーはW杯というより、オリンピックに類似するフィーバーなのだろうという気がしてくる。お祭り自体の魅力というよりも、日本代表というブランドの魅力なのである。

ただ、オリンピックと違いWBCに参加している選手たちは、普段からその名を見聞きし、プレイの一端を眺めている人々なので、普段からお祭りにかけての応援の継続性がある。おおよそのオリンピック選手はそれ(日常からの継続した応援)を受けることができず、W杯の日本代表はそれを受けることが出来る。そこも考慮すると、WBCの立ち位置はW杯と五輪の中間ということになるだろうか。

以上のようなとりとめのない妄想的考察を踏まえて、最初に留保した「なぜ日本は、WBCで盛り上がっている数少ない国のひとつなのか?」というところを考えると、これはやはり日韓戦が何度も味わえるというカタルシス以外の何者でもないのではないかというところに落ち着くのである。韓国という良きライバルとの決戦は、お互いがヒートアップするので何とも言えない独特の雰囲気を醸し出す。サッカーのW杯予選にも、この対決が組まれていたらもっと盛り上がりをみせていたであろう。ちなみにもうひとつの盛り上がっているらしい国・キューバにとってのライバルはUSAなのだろうが、いかんせんこちらは切ない片思いの感がある・・可哀想なキューバ。

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