2.27.2008

京都・大阪旅行 -夜行バス編-

ぽっかりとスケジュールに空きの出来た二月の中旬、私は何処かへ行こうと思い遠くはスペインから近くは伊香保温泉までの、幾つかの候補地から迷った挙句、数年ぶりに京都へ行くことにした。かの地をちゃんと訪れるのは3度目のことである。最初は中学生時の修学旅行で、新幹線で行った記憶がある。2度目は友人と共に、車で訪れた。3度目の今回は一人で夜行バスによる往復である。回を重ねる毎に交通手段のレベルが落ちているのは何故だろう(次回は自転車だったりするのだろうか)?それはさておき、今回は初体験の夜行都市間バス体験について書こうと思う。

某日深夜、指定された西新宿の高層ビル街へ行くと、そこでは百名を優に越える人々が寒さに身を震わせながらバスの到着を待ち受けていた。旅行代理店の社員数名が拡声器を用いて、バスの到着やチェックインの方法などを絶え間なく知らせている。その中、次々と大型のバスが到着し、客を乗せて去っていくのであるが、行き先は東北方面や新潟方面など様々で、私が向かう関西方面だけでもかなりの台数が毎日運行されているようだ。バスの種類も内装によって数タイプに分けられ、スタンダードな一列に2×2名乗車のものから、一列3人掛けタイプや座席がベッドのようになる豪華版まで用意されている。それぞれ料金は異なるが、豪華版のものでも新幹線よりは安い。この価格設定が夜行バスの何よりの魅力であろう。私はその中でも最も安いスタンダードタイプのチケットを購入していた。京都まで片道、4200円である。

安さを求めてか、やはり客層は若者が圧倒的であった。そのほとんどが男女のカップルである。出張目的のサラリーマンや、私のような一人旅風の者はほとんど見かけなかったが、やがて私が搭乗するバスが到着し、指定された席に座ると、私の隣席は齢50を越えた(推定)サラリーマンであった。12時ごろ、バスは発車した。首都高から東名高速をバスは走る。私は眠れぬまま、さりとて明かりもないので本を読むなどして時間を潰せぬまま、ぼんやりと車窓を眺めていた。1時半ごろ足柄サービスエリアでバスは止まった。15分のトイレ休憩後、バスは再び西へと走り出す。私にとっては、ここからが地獄であった。

眠れないのだ。カーテンが閉められ、車窓を見ることもできなくなった。隣のサラリーマンは軽くイビキをかきながら、体をこちらに伸ばしてくる。バスは止まらず、ひたすら走る。私は5時半に草津サービスエリアでバスが止まるまでの4時間、物思いにふけるしかなかった。それにしても4時間休憩なしで運転し続けるドライバーの集中力には驚くばかりだ。バスは6時過ぎに京都駅八条口へ到着し、私はようやく解放された。

私は京都と大阪に滞在した3日間に、既に支払いを済ませている帰りのバスに乗るのを諦めて、新幹線で戻ろうかと何度か考えたものの、やはり余分な費用をかけようと決意するには至らず、再び京都駅八条口へ舞い戻った。復路は2階建てのバスだった。見た目は良いが、居住性は往路のものより更に悪い。今度の隣人は私のように、一人旅を終えたのであろう若い女性だったが、その女性が搭乗後すぐ眠りに落ちてしまうのをうらやましく思いながら、私は再び地獄を味わう。日中京都の街中を歩き詰めて疲れ果てていた私は、眠れないバスの中でふと足を組んだ刹那、腿の筋肉がつってしまい、静寂の中、声にならない悲鳴をあげたのだった。

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