11.20.2008

自転車日本一周? -2、東京から袖ヶ浦-

ALPSLABというサイトのrouteというサービスがなかなか面白い。地図上で基点と終点までのルートをクリックしたりドラッグしたりして決めると、基点から終点までの動きが動画になって表示され、また距離や標高もわかるというようなサービスなのだが、1つ重大な欠陥がある。とにかく重いのだ。深夜にならないと内容を更新したり、閲覧することができない。モノが面白いだけに何とかならないのかねえ?

とはいえ、私もこのサービスを用いて自転車旅の記録を残すことにしました。気が向いた方は見てやってください(ただし深夜に)。

ALPSLAB routeで表示する今回のルートはこちら↓

東京-袖ヶ浦


ところで、東京から熱海へ自転車で走り「何年かかけて日本一周でもしてみようかしらん」などと想起した後、鉄は熱い内に打てとばかりに次の旅を企んでいたものの、予定がたたぬうちにとりあえず11月3日、日帰りで千葉方面へ行けるところまで行くことにした。例によって発走は遅れに遅れ、午後1時半にようやく出発。いきなりカメラを忘れたことに気付くが、戻るのも面倒なのでそのまま環状7号線を進む。

北区・足立区・葛飾区と、ほとんど土地勘のない地区を行くが、そこには東京のある典型とも言うような町並みが続いていた。色の少ない、四角い建物が林立し、緑に乏しい景色の中をぐいぐいと走る。時折現れる隅田川や荒川、中川などの水辺を行き、橋を超える時だけは心が安らぐものである。やがて千葉県に入り、国道14号線を市川や船橋と所を変えて走るが、大して景色が変わることなく、私は淡々と前へ進んだ。

景色が急変したのは千葉港の辺りからだ。11月の短い日は暮れ、右を見ればコンビナート、左を見れば公園か林というロケーションが続く。街灯は極端に少なく非常に暗いので、安物のライトしか持ち合わせない私はほとんど足元が見えない中を慎重に進むしかなかった。体力も既にかなり消耗していたが、それよりも暗さが精神力を侵食しているのが堪える。6時過ぎだったか、左に曲がると姉ヶ崎という標識が見えたので、私は迷わず姉ヶ崎駅へと向かった。もう限界である。

駅近くで光と空腹の解消を求めて、ケンタッキーチキンへと滑り込むと、生き返る思いがした(多少大げさだが)。チキンをほおばり、ここまでの道程を地図片手にぼんやりと追っているうちに、もう10kmぐらい走ってみようかという気になった。すっかりと日は暮れているものの、まだ7時にもなっていないのである。私は腰を上げ、再び自転車にまたがり、線路沿いの田舎道を2駅分進んで7時半に袖ヶ浦駅に到着した。

しかしホッとしたのもつかの間、時刻表を見ると、次の快速電車まで14分しかない・・私はダメもとで自転車の解体に全力を注いだ。前輪を外し、サドルを抜いたりして無理やり袋に詰め込むとそれを抱えてホームへダッシュ。息を切らせながら時計を見ると、なんと今まで30分近くかけていた輪行作業を9分で終えていた。達成感と共に缶コーヒーを味わっていると「まもなく電車が参る」というアナウンスが聞こえた。しかしそこで私は、ホッとしたのもつかの間という状況をまた体験する。

自転車の解体や組み立てに用いるペンチを、駅前の解体した場所に忘れてきたことに気付いたのだ。私はかなり情けない思いを抱きながら再びダッシュ。階段を上り降り、改札をくぐって置き去りにされていたペンチを握ってまた階段を上り降りると、電車は到着していた。重い輪行袋を持ち上げてなんとか電車へ乗り込むと、他に誰も乗っていない客車の中で私はへたり込んだ。いやはや、自転車を漕いだ事よりも最後のドタバタ劇が印象に残る旅であった。


そして次週、友人たちから「サイクルモードという自転車の展示会を見に行かないか?」という誘いがあった。重い自転車を持ち歩いたり、解体や組み立てを行う輪行という所業をなんとか楽にできないものかと、前週の体験によって考え始めていた私は、その誘いに乗っかって幕張メッセまで足を運ぶことにした。

事前知識なしで訪れたこのイベントは、想像を大きく超えたスケールで催されていた。メッセの巨大な空間に何百という自転車関連業者が所狭しとブースを並べ、会場の脇には試走コースが数箇所設置されていた。数多くの来客は、昨今の自転車ブームを物語っていた。驚いたことに、ちょっと名の知れたメーカーのブースで試走を申し込むと、数時間待ちだったり終了していたりするのだ。入場料を払って自転車売り場に来てるのに、試乗もできないってどういうこと?と憤慨を覚え、スタイリッシュに過ぎてスノッブな感のある自転車ブームというやつに唾を吐きたくなる気分ではあったが、私はその唾をぐっと飲み込み、会場を黙々と歩いていると、大手折り畳み自転車メーカーのブースを発見した。

(サイクルモードの光景)

折り畳みか・・輪行は楽そうだが、走行性能はどうかなと、試走を待つ行列の最後尾に並ぶ。10分後にそのメーカーで最軽量の自転車が私に回ってきた。約8kg、実に軽い。コースで走ってみると、スピードも随分と出る。立ち漕ぎなど負荷をかける動きをした場合の安定性に不安は残るものの、ほぼ申し分ない性能だ。こいつはいいなあと思い、ブースへ戻って値段を見てまた驚いた。20万弱、今乗ってるやつの約9倍!

いくらなんでも、高いよね?でもいいなあ、高級折り畳み自転車。こうして私の新車購入計画は、再び迷走期へと突入したのであった。

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